書評です。
高橋惠子さんの「子育ての知恵」を読みました。
保育施設に預けても全く問題ない
1991年、アメリカのNICHD研究所が1300人ほどの子どもとその両親を対象に、生後1か月から15歳までの発達を追跡した研究があります。
この研究で母親への愛着の質を生後15か月時に測定したところ
72%の子どもが安定した愛着のタイプであると判断されました。
そしてこの資料により「家庭のみで養育された子ども」と「日中の数時間を保育施設で養育された子ども」との間には差がないことが結論付けられました。
そして研究者がこの資料を使い子どものさまざまな発達について検討がなされました。
そしてそのひとつに母親が0歳時から働いていること、そしてその間に子どもが保育施設に預けられていることは、子どもの7歳までの発達に全く影響を与えていないという結論がなされたそうです。
ただし条件があります
「ならずっと保育園に預けていてもいいんだー」というのは間違いです。
条件があります。
それは家庭での養育、保育園での養育、どちらも良い質の養育環境であることが大切です。
例えば家庭では
- 日常生活で多様な人とのかかわりがある
- 制限や罰をあたえない
- 子どもの自主性を尊重させる
- 子どもに見合った刺激がある(本、遊具)
- 育児を支援する人がいる
保育施設では
- 保育者の接し方が温かいか
- 言葉による働きかけがあるか
- 教育的であるか
- 子どもの行動の管理
- 保育者と子どもの割合は妥当か
などがあげられます。
そしてもうひとつあります。
母親への愛着は保育施設に預けても関係ないと述べましたが、それは週末の母子交渉の多さで補われているそうです。
これは授乳、おむつ替え、入浴などの必要な世話ではなく、遊び、外出などの母子交渉によって補われます。
まとめ
正直この本を読んだとき「硬い文章が並んでて読みにくいな…」
と思っていたのですが、今まで子育てで思っていたことと違う結論が書いてあり目から鱗で最後まで一気に読めました。
「子育ての知恵」とありますが具体的に「子育てはこうしたほうがいい!!!」ということがズラーっと書いてあるわけではなく
「育児は母親がやるのが一番いい」
「三つ子の魂百まで」
「保育園には小さいうちは預けないほうがいい」
といったような世間に蔓延している常識を真っ向から否定しています。
子育ての具体的なノウハウが書いてあるわけではないのですが気になった方は読んでみてください!
では。